「温故創新」210808 N842 伊波喜一

    210808  N842  伊波喜一

何のため 誰のためのと 問い直す 昭和の神話 発想変えなん

 五輪の熱戦が続いている。フィナーレは男子マラソンだ。炎天下の中、長丁場の競技である。熱中症とコロナ感染に気をつけ、大会が無事に終わることを祈った。 

 東日本大震災の復興を掲げて実施された五輪。なぜか、競技会場は東京周辺に固まっている。

 実際、国内外からの観光客を見込んで、湾岸線にはタワーマンションをはじめ大型ホテルが乱立した。交通機関も整備され、新設の駅まで出来た。旅客機や新幹線の利用客が多いところは、地方都市でさえ東京並みに地価が高騰し、五輪バブルが出現した。この好景気のお裾分けを、地方にもと考えた。 

 64年の五輪では、東京をより早く、高く、強い都市にしようとした。地方から東京へと、人も物も資金も集める一極集中・垂直統合である 今回さらにそれを、グレードアップしようとした。ところが、コロナで目算が外れた。 

 しかし、東京には昭和以前の風情の残っているところが、多くある。公園や緑もある。これらを無理に大規模化するより、特色を活かした方が味わいがある。例えば、都電などゆっくりした速度で山手線内を小回りし、同心円的に町と町を結ぶ。

 江戸期を通して築いてきたこの生活空間を点在させる知恵を、失ってはならないだろう。