「温故創新」230902 N1277伊波喜一

震災と 災害弱者 明るみに 守るべき人 身近なところに   

 朝晩は風が涼しい。このまま秋に入ると、さぞ凌ぎやすいだろう。 

 関東大震災で語られるべきことの一つに、女性たちの活躍がある。震災発生の9月に発足した「東京連合婦人会」は、乳幼児の栄養支援活動を始めた。同時に、衣服や布団などの不足や生活上の不便を、聞き取っていった。

 生活に密着したこれらの活動は、東日本大震災でも見られた。体育館のような広い空間で多くの人が暮らすと、個人や家族のプライバシーが丸見えになる。そこで、段ボール素材などで簡易な個人スペースを作った。

 トイレやシャワーなども、子どもや女性、高齢者や体に障害を持った人たちへの配慮があるかないかで、その共同体は暮らしやすくなる。

 また外国人に対する接し方も、重要だ。異国の文化や宗教に対して、人は必ずしも寛容ではない。相手と触れ合う機会がなければ、相手を理解出来ない。それが不安を増長させ、仲間づくりを加速させる。

 仲間の中にいれば、いつでも多数派でいられる。本当なら、相手と自身との小さな違いから目を逸らさず、それを受け留め、受け入れなければならない。だが、それが恐くて人は集団になる。すると、残酷なことを考えなしでやってしまう。そのことはいつ、どこで、誰に起きても、おかしくない。人が人である限り、それは起こりうるのだ。

 史実から目を逸らしてはいけない。史実は善悪に通じるのだ。