「温故創新」210312 N693 伊波喜一

なお避難 4万1千 帰れずに 人口流出 課題残りて           

 6時前には空が明るい。日の出が早くなった。

 朝晩はまだ冬物が手放せないが、通勤電車では春物のコートやパステルカラーが新鮮だ。その色合いが、春を呼び寄せている。 

 東日本大震災から10年経った。死者、行方不明者は2万2千人を超える。この中には、震災後の傷病悪化による「震災関連死」も含まれる。

 震災直後の避難者は、全国で47万人だった。10年経った今でも、まだ4万1千人以上が避難生活を続けている。 

 プレハブ仮設住宅の入居者は、ピーク時11万6565人だった。現在では24人にまで減少している。 

 岩手、宮城、福島の3県で計画された災害公営住宅計2万9654戸や住宅用地は、全て完成した。 

 公共施設の整備や集団移転の進展で、すでに新しい街が出来上がっているところもある。反面、沿岸部では土地のかさ上げ工事などに時間がかかり、避難先から住民が戻ってきていない。 

 地域の復興には、インフラ整備が欠かせない。

 今後、住民の職の確保、教育、医療、地域コミュニティの再生など、課題は山積みである。復興の道のりは先が見えないが、諦めてしまえば全てが止まる。

 日々の歩みを止めず、1歩でも前へ進んでいくことを祈っている。