「温故創新」230901 N1276伊波喜一

木密の リスクまだなお あちこちに 都市計画の 画竜点睛   

 暑い一日がまた始まる。100年前の1923(大正12)年、9月1日に起きた関東大震災では、死者・行方不明者約10万5千人が亡くなった。その87%に当たる9万1千人が、火災に巻き込まれて亡くなった。これには、旧陸軍被服廠跡地を襲った炎の竜巻「火災旋風」による死者3万8千人も含まれる。

 1995年阪神・淡路大震災でも、死者の1割が火災の犠牲となった。被害は「木密」に集中した。神戸市の長田区は小さな工場や問屋がひしめき合い、火災には極めて弱かった。木密である。

 その木密を解消するには、住宅の密集を避け、住宅自体を燃えにくくくする以外にない。ただUR都市機構などの大規模開発や公園整備などは、一概に進められない地域がある。

 例えば、土地・建物の権利関係が複雑な大阪や歴史的な木造建築の多い京都などでは、一律に整備を進めることは出来ない。むしろ、弊害が大きい。だから、地域の実情に応じて開発や整備を進めていくのが、ベターとなる。同じ設計図では、上手くいかない。

 日本は狭い国土の上に、少ない平野部に居を構えている。密集したり、河川や斜面の多い地域に囲まれて生活せざるを得ない。そこで、個人や企業の要望と利益だけを優先するのでなく、国や自治体の意志を尊重することも、必要となっている。

 個人・企業と自治体・国との権利の折り合いを、明確にすべきだ。