「温故創新」210301 N682 伊波喜一

時を経て 古代ローマの 馬車見つけ 往時偲ばん 儀式で用いん            

 朝方の寒さの中、つがいのヒヨドリが鳴いている。

 面白いもので、必ずつがいでやってくる。元気な鳴き声に励まされる。今日から3月。卒業の月である。 

 イタリア南部のポンペイの近くで、約2千年前の4輪馬車が発見された。この馬車には鉄や青銅、すずで細かな装飾が施されており、ほぼ完全な形で発掘された。

 馬車は祭りやパレードなどの儀式で使われた、と見られている。  

 発掘現場はポンペイから数百メートルの距離にある、チビタ・ジュリアーナという住宅機構である。

 ポンペイは西暦79年のベズビオ火山噴火の際に、高温の溶岩流に埋もれて消滅した。2千人~1万5千人が死亡したと推定されている。4輪馬車、それも儀式用まで通っていたことから、ポンペイの道路が整備されていたことが分かる。

 建物や公共物を建造する前にすることは、1つ。道普請である。

 道路を整備することを、ことにローマ人は重視してきた。当時のローマ人ほど、道路の大切さを理解していた民族はいない。 

 儀式用の馬車まであったということは、法治が広く行き渡っていた証左である。

 ローマは現代史の原型である。遠い史実の果てにあると思っていた事柄が、身近に感じられる今回の発掘である。