「温故創新」230818 N1262伊波喜一

教員の なりて不足に 歯止めかけ ただ働きの 風土改め    

 隣りの公園から、蝉の声が聞こえてくる。一頃の喧しさから比べると、心なしか鳴き声が細い。夏の終わりが、近いのかも知れない。

 教員の働かせ放題が、認知され始めてきた。教員には、残業代がつかない。現行は教員給与特措法(給特法)に基づいて、基本給の4%を上限に「教職調整額」を上乗せ支給している。

 自民党は「教職調整額」を、10%に引き上げるとしている。だが、それで長時間労働の問題は是正されない。定額働かせ放題の中身に課題があるのであり、これでは人件費という感覚が育っていかない。

 給特法を廃止して、教員の残業代を民間企業で支払うと仮定する。すると、必要な予算は1兆円に上ると試算されている。給与内で仕事をするとなると、仕事内容を取捨選択するしかない。それは取りも直さず、授業内容の充実ということに直結する。

 実際の学校現場は、授業外のことでも忙殺されている。コロナ下での個別対応や支援計画など、お上がタブレットを配るだけでは解決しない。なぜなら、それを扱って教えるのは教員だからだ。

 文科省は具体的な指導計画や内容などをガイドラインを示したら、あとは現場に任せるべきである。現行のように現場に細かいガイドラインを下ろしていては、いくら時間があっても足りない。

 学校の仕事の本質は、何といっても教えることにある。教員の働き方改革は、授業力を向上させる以外にない。