「温故創新」230605 N1219伊波喜一

出生の 低さの因を 鑑みる 四角四面で 生きにくさあり 

 2022年に生まれた日本人の子ども(出生数)は、77万人だった。1人の女性が生涯に産む見込みの数(合計特殊出生率)は、1.26に落ち込んだ。出生数は前年より4万人強少なく(5.0%減)、7年連続低下した。

 一方、死亡数は157万人で、過去最高となった。出生数と死亡数の差である「自然増減数」は80万人弱となり、過去最高となった。 

  出生数等の低下について厚労省は、「コロナ禍で出産や育児に不安を感じ、影響を与えた可能性はある」としている。

 しかしそれは、表層の一部でしかない。根本原因は、日本が子どもを産み育てていける社会のあり様になっていないことである。

 例えば、乳幼児を預かる施設は、充実しているか。教育費は一定限度、保証されているか。親が失業しても、教育の継続が出来るか。さらに、両親の介護にかかる期間の公的支援は、どうか。

 介護離職は、今や深刻な状況にある。自助や共助に頼れない現状が、あちこちで見え隠れする。個人の努力だけに頼るのは、もはや限界である。公助がなければ、共倒れとなる。人や物を使い捨てにしていく社会からは、思いやりや共生の発想は生まれて来ない。

 子どもの誕生から老後の看取りまで、社会生活は連続して営まれている。国の基本政策が必死で生きている人達への応援歌になるには、継続して支援していく以外にない。