「温故創新」230122 N1162伊波喜一

逞しく 八面六臂 縦横に 女性の活躍 制限かかるか

 ニュージーランドのアンダーソン首相が、辞意を表明した。首相職は多事多忙のため、相当なエネルギーを要する。そのため、今後やっていく余裕がないと、辞任の理由を説明している。

 首相就任後の19年、イスラム教礼拝所で銃乱射事件が起こった。宗教的・人種的対立に陥らないよう、細心の注意を払って混乱を沈めた。また、同年、北部ホワイト島の火山の噴火があり、対応に追われた。息つく暇さえ与えず、コロナが襲った。

 コロナ下では一早く国境を封鎖し、柔軟なロックダウン政策を取り、国民の生活や行動の自由を守った。積極的に情報発信をして国民の信頼を得て、20年の総選挙では与党・労働党が大きく票を伸ばした。

 だが、住宅問題や子どもの貧困問題など、もともと目指していた政策に割く時間が限られた。そこに、コロナ下の経済対策の苦戦が加わった。インフレや金利高に、民衆の不満が高まっている。中央銀行は、23年に景気後退に陥るリスクを指摘している。

 首相はこれまで、働く女性のみならず若い女性から年配の女性まで憧れの存在だっただけに、与える影響が大きい。

 育児や家事など、家の事は女性の仕事という時代が長く続いてきた。女性の社会進出には無意識下のハードルが数多く待ち受けている。

 それだけに既成概念を打ち破り、女性が暮らしやすい社会の仕組みを構築していくことこそ、政治の本質ではなかろうか。