「温故創新」221026 N1131 伊波喜一

強権と 民主のはざ間 揺れ動き 個人礼賛 国の行く末               

 風が冷たい。暗渠の上を歩いていると、渋柿であろうか、柿の木に金色の実がたわわに成っている。見事なものである。

 習近平体制が固まった。これまでは経済再生と共同富裕で、国民を牽引してきた。かつてと比べて、人民の富裕感は明らかに高まり、急速に国力を上げた。それは個人消費を含む所得の向上であり、生産力の向上に裏づけされている。

 同時に、強大な軍事力である。中国は自ら覇権を唱えていないと主張しているが、アジアや日本に対する実効支配や威嚇は、十分に覇権的である。台湾自治も危うい。 

 昨年の「第三の歴史決議書」では、習氏の10年間で中国が強く大きくなったと喧伝している。鄧小平の「第二の歴史決議書」では毛沢東への個人崇拝と権力集中が、文化大革命を引き起こしたと自己批判した。確かに、物事にはプラスの面とマイナスの面がある。この矛盾を是正するために、毛以降は集団指導体制を取ってきた。

 ところが、今回の第三では礼賛のみである。これは明らかに、内省が働いていない証拠である。これでは、習近平に対する個人崇拝を生みだすのは明らかである。自浄作用の失われた組織は、内から崩れる。これは歴史の鉄則であり、必然である。

 大国化した中国が何を目指し、どこへ行こうとしているのか、これからの歴史が証明する。