「温故創新」200529 N443 伊波喜一

香港の 一国二制度 岐路に立つ 信ずる自由 妨げるかな    

 中国の全人代が閉会した。

  会議では香港での反体制的なデモを取り締まる「国家安全法制」の導入を決定した。これで、香港の一国二制度が岐路に立った。 

 国家安全法制の決定骨子は以下の通りである。

 ★香港に干渉する外国勢力に対抗する ★香港で行う分裂、転覆、浸透、破壊活動を処分 ★中国政府が香港に関係機関を設置 ★全人代常務委員会が関連法案を制定する。 

 習近平指導部は香港での大規模デモを警戒していた。デモの様相が、東欧での政権転覆を想像させたからだ。 

 1997年に香港が返還された時、中国は「香港の資本主義と生活様式は、50年間変更しない」と表明した。普通選挙の実施も約束したが、から手形に終わった。 

 コロナ禍の影響で、世界中で実質経済成長率が下がっている。中国はこれまで、経済の活況で民衆の不満を昇華させてきたが、今度ばかりはそうもいかない。

 中国は大国である。民衆の糊口をしのぐことだけでも難治である。

   確かに、経済無き生活は観念である。が、経済を優先させて異論を封じ込めるやり方では、民衆の支持は得られない。 

 日本にとってこのことは、決して対岸の火ではない。今後の中国の動向から目を離してはならないだろう。