「温故創新」221025 N1130 伊波喜一

後世に 家裁記録を 残さんと 調査と保存 基準作りを              

 雨混じりの今朝は、手がかじかむ。戸外の温度は8度、昨日より6度ほども下がっている。

 97年に神戸で起きた連続児童殺傷事件で、逮捕された当時14歳の少年に関する事件の記録全てを、神戸家裁が廃棄していた。これには、少年審判に関するものや家裁の処分決定書、供述調書、精神鑑定結果などが含まれている。

 最高裁は少年事件の記録の保存について、少年の更生を念頭に原則「少年が26歳に達するまで」と定めている。

  一方で、資料的価値の高いものや社会の耳目を集めた事件に関する裁判記録などを、特別(永久)保存の対象としている。これらは再発防止に向けて、社会全体で考える貴重な資料になる。

 神戸の事件は、刑事罰の対象年齢引き下げのきっかけとなるなど、社会に大きな影響を与えた。裁判記録は国民の共有財産であり、保存の仕方や年限、社会的な影響力などを加味する必要がある。

 管理の仕方については、これまで十分に検討されてこなかった経緯もある。これを契機に、改めて司法における保存のあり方も、検討していく必要があろう。

 紙文書は保管に嵩張ることから、今後は電子データでの保管が検討されている。初発の作業には手間暇かかるが、大綱を示して予算と人手を確保し、未来への貴重な資料としていきたい。