「温故創新」221017 N1125 伊波喜一

生物と 無生物が 絡みあう 複雑怪奇 進化の不思議             

 コニファーの葉が落ちてくる。常緑樹ではあるが、冬に備えて葉を落とす。植物は冬備えに余念がない。

 ウイルスには、自らの遺伝子を生物の遺伝子に組み込む働きがある。それだけではなく、生物が持つ遺伝子の一部をコピーし、それを自らの遺伝子に組み込む働きも供えている。

 例えば、哺乳類の胎盤形成に重要な役割を果たすタンパク質は、ウイルス由来の遺伝子で作られている。また、この胎盤形成に関係する遺伝子を調べると、このウイルス由来の遺伝子とは別に、ウシやマウスといった動物の遺伝子も深く関与している。

 つまり、生物の進化は、生物種の個々が独立して成し遂げてきたのではない。生物間で複雑に絡み合い、成り立ってきた。同時に、ウイルスは単に物質的な存在ではなく、生物界で重要な役割を果たしている姿が浮かび上がってくる。

 コロナ下の初期、人はコロナを退治すべきものとして立ち向かった。しかし、コロナは突然現れたのではない。もともと、この地球上ではコロナの方が先に生存していた。後発部隊は人の方である。コロナは人と共存しながら、生き延びてきた。それはこれからも、変わらない。

 生物も無生物も互いに関係性を持ちながら、共存していく。それなのに、肝心の人と人とが共存できないなど、ウイルスから見たら随分おかしな様子に映ることだろう。