「温故創新」221016 N1124 伊波喜一

たくましき 知恵と力を 発揮して 植物に見る 生命の形             

 陽射しの心地良い季節となった。これまでは陽射しを避けていたが、これからは陽射しを求める時期となる。上さんの友人が、庭で育てたコスモスをくださった。淡い紫やピンクに、秋の深まりを感じる。

 植物には、人の五感に通じる機能がある。植物の特徴は細胞内に葉緑体をもち、光合成をしてエネルギーを得ることである。

 さらに光合成に必要な光や湿度、二酸化炭素の濃度を感じ取るセンサーがある。それ以外にも、周囲の振動や圧力、磁場、化学物質も感じ取っていることが分かっている。

 光のセンサーを視覚、振動のセンサーを聴覚、圧力を触覚、化学物質を味覚や嗅覚と考えれば、人の五感に通じるといえよう。

 また植物は、害虫に食べられた時には化学物質を出して近くの仲間に警告したり、その害虫の天敵を呼び寄せたりして、自分や周囲を守ろうとする。

 動物は動いてエネルギーを取り入れなければ、生きていけない。一方植物は、動かずしてエネルギーを吸収する。このひそやかな知恵のお陰で、太古より地上に生き続けている。

 娘たちの育った幼稚園には、メタセコイヤの大木が枝を茂らせている。古いものになると、1千年を越すものもあるという。凄い生命力である。寒暖に耐えて生き続ける植物の知恵に、人は頭を垂れる時にきているように思う。