「温故創新」210611 N784 伊波喜一

環境の 整備に力 注ぎつつ 自律の心 個々に育てん             

 早朝の小鳥たちの鳴き声は、元気に満ちている。さえずりやおしゃべりではなく、互いに大声で話しているかのようだ。それにしても、全く早口である。 

 一部地域では、コロナパンデミックによる休校が続いている。緊急事態宣言に伴う長期かつ不規則な休みが明けた後は、授業再開に向けて学校は忙しくなる。

 不規則な生活は、メンタルに良くない。しかし親が休業中ともなれば、家庭の空気は重苦しくならざるをえない。むしろ、そうならない方が稀であろう。

 それらもふまえ、学校はカウンセリングなどに力を入れる。同時に教科の補充をするべく放課後や土曜日、夏季休業など長期の休みを返上して授業を行ってゆく。かように、対処に余念がないのだ。 

 人が自立するには、自律することが前提となる。たとえどれだけ環境を整えても、本人がそれに取り組まなければ成果は得られない。そして取り組むには、自らの弱い心・諦めたくなる心に打ち克たなくてはならない。そのためには、子ども達に何のために・誰のために学ぶのかという目的観が不可欠となる。

 貧困を絵に描いた明治初期の教育環境は、劣悪だった。人にも物にも恵まれなかった。しかし、志を育てることに全力を注いだ。今、求められることに通ずるように思う。