「温故創新」 200612 N453 伊波喜一

不思議なる 心の奥に 横たわる 力引き出す 細胞群よ       

 朝から蒸し蒸しする。この時期はナメクジが跋扈する。その撃退用グッズがある。

  毒入り棒にナメクジを這わせ・かじらせて、やっつけるという代物だ。人と虫との知恵比べのようで興味深い。 

 先頃、マウスの人工冬眠の成功が、ネイチャー誌に発表された。

 筑波大と理研の研究チームは、「休眠誘導神経(Q神経)」と名付けた細胞を刺激すると、冬眠に近い状態を作り出すことが出来ると発表した。 

 代謝や体温が低下する休眠が長く続くことを、冬眠とよぶ。これは食料の不足する寒い時期を、省エネで生き延びる知恵である。 

 Q神経は視床下部にある。Q神経を刺激すると、平常は37度のマウスの体温が、24度まで下がる。酸素消費量も1~2割になり、代謝が鈍っていることが分かる。  

 この性質を延命措置や臓器保存に活かせば、臓器や組織の損傷を進みにくくすることが出来る。そのことで治療までの時間を稼げ、より良い状態で治療や手術を行うことが出来る。 

 ヒトは心の奥底に潜在力を秘めている。自らの状態を自らの力で最高の状態にする力を持っている。

 ヒトが自他の可能性を信じ・称え合うことが出来れば、第2、第3のQ細胞が見つかることは、想像に難くない。