「温故創新」200320 N401 伊波喜一

悩みつつ 過ごした日々よ 卒業の 晴れ渡る空 門出讃えん

 晴天・温暖の中、中学校の卒業式が昨日行われた。FSRの子ども達も、それぞれ原籍校で卒業証書を受け取った。何人かが卒業証書を持ってFSRにやってきた。誇らしさと気恥ずかしさとが入り交じったような表情をしている。みんなの注目を浴びて、照れ隠し気味にぶっきらぼうな態度で歩いてくる子もある。その姿が何とも微笑ましい。 この子達にとって中学校卒業のハードルは限りなく高い。中学という生(なま)の現実に打ちのめされ、現実から遠ざかった日々。中学に通う仲間と出会うことを忌避し、隠れるようにして生きてきた日々。 “この現実から目を背けても、何も変わらない。現実を見つめ足りないところを補っていくしか、現実は乗り越えられない。だから、自分の出来るところから一つ一つ、足元を固めていこう”。こう言い続けてきた毎日だった。職員から子ども達へ寄せた色紙に、私は書いた。「何があっても、一歩前へ!」。

これからこの子達は一人で現実生活と闘っていく。上手くいく事より、いかない事の方が多いだろう。そんな時は体裁なんか気にせず、話しに来ればいい。 独り立ち出来る日まで、聞き続けていきたい。