「温故創新」220407 N1023 伊波喜一

入学を 祝うかのよう 風に乗り 空を泳ぐや 桜舞い散り 

 微風に乗って、桜が舞っている。陽の暖かさに背中を押されて、ペダルを漕ぐ足も軽い。

 今日は中学校の入学式。体育館への入場を待つ新入生の辺り一面から、ざわめきが聞こえてくる。在校生達の着古した制服と比べ、一回りサイズの大きい服を身に纏う新入生達。緊張した姿が微笑ましい。

 中学3年間は、心身ともに大きく成長する時である。心も体も急速に伸びる半面、自身を制御できずに自暴自棄になる。自身のちっぽけさに比べて、他人の大きさが気になる年齢である。時には、打ちひしがれる思いにもなろう。

 古人は言った。「他人と自分を比べるより、昨日と今日の自分の歩みを比べよ」。ルーチンが積み重なると、大変な蓄積となる。1日では分からないが、1年も続ければ自身の変化に敏感になる。

 マエストロ小澤征爾は、毎朝数時間、スコアを読み込む。武者修行時代からの習慣を、今も続けている。地味で目立たないこの基礎基本に徹したからこそ、小澤のスタイルが確立された。

 小澤曰く「指揮者は細かいところに目が行く、因果な商売だ」。

 プロは細かいところに気を配り、神経を張り巡らせ、刹那の一瞬に全神経を注ぐ。だから、その一瞬に永遠の光が宿る。平凡の積み重ねは、非凡に達するのだ。

 新入生の皆さん、迷いながらもまず一歩踏み出してみよう。