「温故創新」200315 N400 伊波喜一

運転の 再開嬉し 常磐の 富岡浪江 笑顔戻らん

 東京では例年より早く、桜が開花した。都心部の午後2時の気温は2・5℃で、真冬並みの寒さだった。今週からは花見の季節となりそうだ。 14日、JR常磐線の富岡~浪江区間で運行が再開された。東日本大震災で被災してから、丸9年が経った。一部区間は原則立ち入り禁止の「帰宅困難区域」に含まれていたが、政府は駅中心に避難指示を解除した。線路は生活の大動脈である。ちょっと運休するだけでも、生活に支障をきたす。足かけ10年ともなれば、その不便さは言うに及ばずである。コロナウイルスの影響で、記念式典は代表のみの参加となったが、利用者の喜びはいかばかりかと思われる。 今後2年後の住民帰還に向けて、住まいや雇用環境の整備が大きな課題である。9年間手つかずで放置状態になった家は、廃屋化する。一度失った職は、二度と返ってこない。他地域へ越していった住民は、生活の基盤が出来上がってしまい戻れない。生活を取り巻く全ての環境をどのように整えていくのか、これからが正念場となろう。現場と国とが手を携えて、自ら正答を作り出していく以外にない。 復興のモデルケースとならんことを心より祈る。