「温故創新」191120 N349 伊波喜一

結びつき 語る場こそ 求められ 中間層の 凋落止(と)めん

 日中の暖かさとは裏腹に、木枯らしが吹くと夜風が身に堪える。道道の木々も一気に赤や黄に色づいている。秋から冬に季節が変わったことを体感する。 アメリカの中間層が、あるいは世界の中間層そのものが凋落したのはナゼか。その原因の一つに、孤独があると指摘されている。一世代前と比べると世帯規模が明らかに縮小し、若者にも高齢者にも一人暮らしが増えた。若い人の結婚時期が遅れ、教会や神社仏閣に日常的に足を運ばなくなった。あるいは、町内会のバザーには顔を出すものの、自治会への加入率は減少している。今まで、町会長や民生・児童委員・保護司などが担っていた人と人とを結びつける役割も、高齢化が進む。さりとて、後継者は見つからない。 このような中でどのグループにも属さず孤独を抱えている中間層が、将来に希望を見いだせず、心の内に憤懣を溜めていく。 今、世界中で起きている排外主義やナショナリズムは、遠い世界の話ではない。私達の身近でいつでも起こりうる。震災や災害を期に他者と関わる人達が増えたのは、その変化の兆しである。今後ますます、ボランティアや宗教の持つ利他の心が求められることだろう。