「温故創新」200108 N366 伊波喜一

引きこもる 我が子の未来 暗澹(たん)と 祈る思いで 春待ち続け

 人生百年時代を謳歌できる人は、恵まれた人生と言えよう。むしろ、百年を生きる資力や健康、心の張りを持っていないと感じている人の方が多いのではないだろうか。 平成30年度の内閣府調査によると、40歳~64歳の中高年層のひきこもりが、63万人にのぼると発表された。40歳~64歳というとまさに働き盛り・稼ぎ盛りで、仕事をして生計を支えている年齢である。加えて、分別盛り・調整盛りで、経験に裏打ちされた智恵で社会を円滑に潤していく役割を担っている。その年齢がひきこもりになれば、社会全体の潜在力が落ちるのは火を見るより明らかであろう。今までは若年層のひきこもりに焦点が当てられがちだったが、若年・中高年へも手立てを講じなければならない。 今、高齢化や未婚化、共働きなどにより、家族全体が孤立化に陥りやすい。また、核家族は自立しているように見えるが、逆に大人のひきこもりは家庭内に閉ざされて、外から見えづらい。 人との関わりが希薄化している現代。だからこそ、あえて関わっていくことが必要ではないだろうか。引きこもりは一家族だけの問題ではない。国をあげて取り組む課題である。