「温故創新」200111 N367 伊波喜一

食べられる 考えられる どちらかを 決めていくのが 主権国家

 台湾総統選が11日投開票された。結果は、中国との統一を拒否する与党民進党蔡英文総統が812万票で圧勝した。対中融和路線の野党国民党の韓氏は、548万票と大きく水を開けられた。蔡氏は台湾の進むべき方向性を「一国二制度ノー」と明確に訴えてきた。そのため、中国は台湾と外交関係を結んでいた国々を断交に追い込み、台湾経済へ圧力をかけ続けてきた。一方、韓氏は中台関係を改善し経済を振興すると、経済優先を訴えてきた。「寄らば大樹の陰」で、台湾経済が伸び悩む中、若者の雇用拡大を訴えてきた。

 そこに香港の民主化要求デモが重なり、状況が一変した。香港も台湾も、超大国中国の圧力に屈せず、民主化を求めて戦い抜いている。食べていくこと以上に、自ら考え・行動出来る自由を求めての選択には、敬意を表するのみだ。ただし、今は中国への反感や脅威もあり、憂国への余熱が冷めていないが、不況が長引くと往々にして人の心は移り変わる。 今後、台湾が利に流されず、どこまで大義の旗を振り続けることが出来るのか、私達は一過性の熱情ではなく、冷めた情熱で見ていく必要があるのではないだろうか。