「温故創新」180505 N231 伊波喜一

里山を 吹き抜ける風 柔らかに 水辺に響く 子ども等の声 

トトロの舞台の原型となった八国山緑地(東村山市)を訪れた。アニメでは猫バスが走ったり、さつきとメイの母親が入院している病院があったりとするが、原作のイメージと変わらない光景が広がっている。遠くから見るとこんもりした山あいの裾を、四両編成の電車が走り去ってゆく。ある時は右から左へ、ある時は左から右へと列車音を響かせながら駈け抜けていく様は、猫バスを彷彿とさせる。 その手前に北山公園がある。五月にはサツキが九月には彼岸花が咲き薫り、訪れる人々の目を楽しませてくれる。また、川沿いのあぜ道にはスズメやツバメが舞い降りて、しきりに虫を啄んでいる。一方、池の端にはカワセミが飛んできて、くちばしを水に突き入れ、小魚などを目ざとく狙っている。 その小川では、子ども達が膝まくりして、ザリガニを捕っている。太陽の直射日光を浴びて戸外は暑いが、水の中は涼しげである。捕るのに夢中で、陽の暑さも水の冷たさも感じないようだ。 総務省の発表では、15歳未満の子どもの数は1553万人であり、37年間連続減少している。未来を担う子ども達が、健やかに育つことを心より祈りたい。