「温故創新」240227 N1400伊波喜一

米支援 目立つ遅れに NATOが 横暴ロシア 悪見過ごさぬ

 風が冷たい。木々が幹から揺れて、梅の花を吹き散らしてしまった。それにしても、2日間にまたがって突風が止まないのは珍しい。

 ロシアの侵攻から2年が経った。ゼレンスキー大統領は、この2年間のウクライナ兵の死者数を「3万1千人」と公表した。ロシアの愚かな侵略により、有為な人材が失われたことを憤る。大統領は「一人ひとりの犠牲者が、我々にとっては甚大な意味を持つ」と語った。

 最大の支持国である米国は、共和党ウクライナ支援に反対しており、自国内にお金を使うべきだとしている。またトランプ氏は「ウクライナ支援をしても戦況は変わらず、お金のムダ」と言い放っている。 

 そんな中、スウェーデン北大西洋条約(NATO)加盟が、26日決まった。先行したフィンランドと合わせて、NATOは32カ国体制となる。スウェーデンのクリステション首相は「歴史的な日だ。欧州と大西洋の安全保障は、責任を負う用意がある」とした。

 これでNATOは、欧州北部のバルト海をほぼ囲む形となった。ロシアにとっては、同海に面する飛び地カリーニングランドからの軍事展開が難しくなる。NATO拡大を警戒してウクライナに侵攻したことが、完全に裏目に出た格好である。

 「お金のムダ」と言い切る共和党には、人道も子どもの命も眼中にない。その傲慢が、明日は我が身に降りかかってくることに、気づいていないことが怖ろしい。米国の凋落ぶりが何とも哀れに映る。