先駆けて 食の砂漠 回避する 地域拠点の 開発必死
能登で飼っている乳牛は、1日に1千㍑の水を飲む。井戸水でまかなおうにも、十分な量ではない。飼い主はどんな思いでいるだろうか。
生活環境の悪化に伴って、新鮮な食品の入手が困難になる「フードデザート」(食の砂漠)問題が、取り沙汰されている。
東京に住んでいると実感しにくいが、特に地方では豊富で新鮮な食材を確保するのはなかなかに難しい。鮮度の高い食品を手に入れようとすると、結構な値段になる。それも肝心な物がなければ、どうしようもない。
地元の特産物に特化したものを売る店や、広く全国の特産物を扱う店まで、商売のやり方や規模は異なる。だが、購買力を生み出すには、一定規模の商圏が存在しなくてはならない。地域拠点が確立されないと効率が悪く、それがそのままコストに跳ね返る。
販売事業への助成は元より、行政主導での地域拠点への人口集約を進めていく必要がある。自治体と販売事業とのコラボを丁寧に積み重ねていくことで、食の砂漠化を防ぐための手立てが講じられる。
少子高齢化に加え、自然環境の変化とそれがもたらす自然災害は、これまでの住環境を打ち砕きさえする。これまでの常識にとらわれず、将来の人口動態を見据えた、思い切った改革が必要となる。
厳しい現実から目を逸らさず、生きていくための商圏を確保していくことが、今後の選択肢の筆頭に挙げられよう。