「温故創新」231208 N1341 伊波喜一

月々に 年輪増すよう 着実に 企業目標 人の幸せ          

 12月とは思えないほど、暖かい日が続いている。ポカポカだ。

 あちこちで、紛争が続いている。資本主義的経営も社会主義的経営も、行き詰まりを見せている。そんななか、社員の幸せに焦点を当て続けてきた会社経営に、光が当たっている。

 寒天メーカーの伊那食品は、48期連続増収益を達成した超優良企業である。特筆すべきはこの30年間、会社が嫌で辞めた社員が1人もいないことだ。このことを同社の最高顧問である塚越寛氏は、「会社の存在理由は、社員が幸せになることにより、世の中に貢献していくこと」と語っている。

 その好例として、2005年の寒天ブームの際に、前年比40%の増産に社員が疲れ切っているのを見て、通常の生産量に戻したことがある。社員の健康を優先した結果である。結果的に、ブームが去った後の在庫を抱えることもなく、損失を避けることが出来た。

 会社の哲学は、「年輪経営」という言葉に象徴されている。会社は商品が命である。優れた商品を生み出すために、研究開発に重点を置く。並行して、人間や社会の価値観の変化を見落とさず、機敏に対応していく。まさに、年輪が着実に節目を刻むように、月々日々の歩みを固めていく。そして会社内だけでなく、地域社会へも利他の活動を率先して行い、喜びを分かち合っている。

 これからの社会のあり方を示唆する経営では、ないだろうか。