「温故創新」230930 N1305伊波喜一

同苦する その一言に 奮い立ち 生きる力を 励まし引き出す    

 昨夜は突然の豪雨で、目を覚まされた。不安定な陽気が続いている。 

 言うまでもなく、人は健康でありたいと願う。昔と違い、格段に寿命が延びた。だが現代は、様々なストレスに取り囲まれている。

 筆者の祖父は59歳で亡くなったが、今では働き盛りの年齢である。寿命が延びた分、病気になる率も高まった。今でも、2人に1人が癌になる。そして、4人に1人が癌でなくなる。

 この20年間で平均寿命は3歳延びたが、健康寿命は10年と変わりがない。つまり、誰かの介助や介護を借りなければ、1人では老後を過ごせない。厳しい現実は、変わらない。老いの悩みは、死の直前まで目の前にあるのだ。

 乳癌の手術を受けて、3か月後の心理状態を調べた調査がある。

 1つ目のグループは、癌に負けない闘争心を持ち、前向きに対処する人達である。2つ目のグループは、もう駄目だと絶望的になり、死への恐怖を持った人達である。

 予想通り、1つ目の方が圧倒的に良い結果を生んだ。その1つ目の中で、興味深いデータが示された。癌に立ち向かう本人の意志が重要なのは、言うまでもない。それに加えて、回りの声かけや関わりが、患者のレジリエンスを高めることが分かった。

 悩んでいる人の声に耳を傾けることが、いかに大切であるか。患者は言うに及ばず、社会全体で互いに耳を傾けてゆく日を待ち望む。