「温故創新」231001 N1306伊波喜一

万人の 幸福開く 仏法の 哲理学ばん 教学部試験    

 10月になったが、あいにくの雨混じりで、湿度が高く不快である。 

 学会伝統の教学部試験が、昼と夜の2回に分けて行われた。全国各地の1408会場で行われ、7万5千人が受験した。仕事や学業、育児、介護、そして自身の宿命と闘いながら、今日まで研鑽してきた教学の結果を発揮する時である。

 問いは5つに分かれている。問1は「立正安国論」の背景と大意、問2は「日如御前御返事」の九識心王真如の都と以心得入、問3~5は法華経の一念三千、諸法実相と二乗作仏、受持即観心、仏教の人間主義の系譜と謗法の宗門の歴史が問われた。

 いずれも、内容理解は容易ではない。加えて、我が身の中に仏の命があると信じ、これを確信出来るかである。

 現代に暮らす私達は、神や仏が自身の内にあるとは信じられない。何かにすがり、導いてもらうと考えがちである。しかし、仏とは何か特別なものでも人でもない。苦難を乗り越えていく力こそ、仏である。そのことを理論で納得し信解するために、教学はある。

 会場には、10代から80代までの幅広い層の受験生が集っていた。それ以上に、受験者と一緒に勉強し励まし続けてきた、担当者がいた。 

 受験前、緊張した様子で足早に会場に入っていった受験生。それが、受験後は爽やかで充実した表情で出てきた。待ち構えていた担当者と終始笑顔で話しているのを見て、清々しい気分になった。