「温故創新」230909 N1284伊波喜一

国内の 不満と不穏 ガス抜きを 愛国教育 「十段線」に   

 昨日とは打って変わって、今日は33℃と暑い陽射しが戻ってきた。  

 中国の新地図をめぐって、関連諸国が反発をしている。「十段線」がそれで、インドでは中国と国境を接しているアルナチャルブラデシュ州が、反発をしている。マレーシアやフィリピンの海域、台湾、日本の尖閣諸島なども、中国の域内とされている。

 これは中国のプロパガンダで、清時代の広範な領土を下敷きにしている。元々、中国の領土だから、その権利を主張しているだけだと主張している。国際法を順守する気など、毛頭ない。

 このやり方は、内政の不満を外に向けさせるための、愛国教育の手法の1つである。言うまでもなく、中国にとっての最重要課題は、共産党政権を安定させることである。内に不満を溜め込み過ぎると、いつか憤懣に変わる。

 それを避けるために、外に敵を作り、攻撃対象とする。別の言い方をすれば、敵を作らないと国が成り立っていかない。外に向けるベクトルを内に向け、内省して自己を変えていくことも出来るはずである。しかし、それが出来ないので、常にガス抜きでごまかす。

 このやり方を繰り返すと、精神的に成熟することが出来ず、いつも他所に責任転嫁することとなる。回りと衝突を繰り返し、やがて孤立の坂を転げて落ちてゆく。だが、賢明な中国人のことである。その愚には、内心気づいていよう。機が熟するのは、いつになるだろうか。