「温故創新」230804 N1248伊波喜一

守るべき 海の宝を 移植する 愚かに決し 悔いを万歳(ばんさい)    

 台風6号が沖縄に居座っている。当初の見通しとは打って変わり、大雨と大風に加えて、停電や断水も続いている。

 台風の進路は、高気圧と隣り合わせである。高気圧の張り出しが動けば、その間隙をぬって台風が動く。従来ならば台風は温帯低気圧に変わり、自然に消滅していく。

 ところが今般は、この暑さで海面温が30℃を超えている。そのため、勢力を落とさず北上する恐れがある。九州地方へ大雨、大風の被害をもたらすのではないかと、懸念される。

 その沖縄のサンゴ礁が、移植の危機にある。防衛省辺野古沖での基地建設のため、約8万4千群体ものサンゴ礁を別の場所に移植しようとしている。多くの場合、移植はサンゴを切り離して、別の地に接着剤で固定させる。

 5年前、辺野古では絶滅の恐れのあるオキナワハマサンゴ9群体が、別の場所に移された。だが、6群体が死に、1群体は高潮で消滅した。 

 サンゴ礁は海の熱帯林とも呼ばれている。自然の防波堤として高波を和らげ、魚の隠れ家や産卵場所になり、豊かな漁場を形成する。これらは気の遠くなるような年月をかけて、醸成されたものである。

 それを切り取って移植するなど、浅薄にも程がある。元々、益のない基地建設のために、大切な辺野古・大浦湾岸の生態系を破壊して良いものかどうか。

 取り返しのつかない世界の大損失である、と訴えたい。