「温故創新」210329 N710 伊波喜一

海氷下 自動航行 調査ロボ 南極海で 氷のナゾに

  目に青葉が眩しい。今朝は微風・晴天で、昨日の大雨・大風がうそのようだ。それにしても、草花の開花が早い。5月の花まで、季節を先取りして咲いている。一体、どうしたことだろう。 

 南極の氷は、気候変動に大きな影響を与えている。しかし、その量がどれぐらいあるのか分かっていない。

 そこで、船舶では入れない氷の下に潜って、自動で観測する自立型海中ロボット(AUV)を東京大と国立極地研究所が開発した。

 北海道・紋別港での実験に成功し、22年度から昭和基地周辺の南極海で調査を開始する。 

 南極の氷は、地球上の淡水を蓄える貯蔵庫の役割を果たしている。その正確な量は、航空機や人工衛星など上空からの観測だけでは不十分である。

 そこで、海氷や陸地から張り出した棚氷の下に潜り、裏側の形状や海水温を測定する必要があった。AUVは超音波センサーなどを使い、障害物を避けながら自動で調査を続けることが出来る。 

 研究予算の少ない日本だが、目の付けどころではこのような成果が挙げられる。ニッチな分野に目を向けたことで、研究の進度が加速してゆくだろう。

 研究成果は、促成栽培のようにはいかない。試行錯誤を奨励するぐらいの懐の広さが、国には求められる。