「温故創新」230116 N1156 伊波喜一

売れもせず 相続されず 放置され 空き家対策 立ち往生と

 久方ぶりの雨が、地面を濡らしている。乾燥しきっていただけに、甘露の雨である。日中は暖かだったが、夕方からは風が吹き始めた。体が芯から冷える。寒さが堪える。

 全国的に空き家が増大している。2018年度総務省の住宅・土地統計資料によると、空き家は全国で249万戸もある。

  21年の相続放棄は25万件で、10年前の1.5倍にものぼる。亡くなる人の数を上回る勢いである。特に75歳以上の団塊の世代は持ち家志向が強く、今後、大量の空き家が出回ると予想される。

 そこで空き家放置対策として、税制優遇措置の見直しが検討されている。現行では、住宅用地はもともと固定資産税の特別措置がある。ただし、倒壊する危険や衛生面で有害となるおそれのある「特定空き家」については、対象外とする規定を設けている。

 人が住んで小まめにメンテナンスをすれば、家は長持ちする。木造家屋でもコンクリート家屋でも、100年近くもつ。

 しかし人が住まなくなると、あちこちから急速に傷み始める。人が住んでいても、家の修繕や草刈り、樹木の剪定など手を入れていかないと、すぐに家は荒れる。

 家は人とともに生きている。ケアが出来なくなれば、綻びていく。 少子化に加え、人口減が確実な日本。家の終活に手を打っていかないと、空き家だらけの街になってしまいかねない。