「温故創新」220913 N1109 伊波喜一

感じ方 人それぞれに 違うかな 辛さの不思議 刺激たまらず         

 南西諸島に暴風雨が来ている。今年は台風の当たり年である。農作物の収穫にさしかかるだけに、被害が少ないことを祈るばかりである。

 甘味、塩味、酸味、苦味、うま味は、味の基本5要素である。これ以外に、辛さがある。カレーの辛さもあれば、キムチの辛さもある。

 こうしたスパイスの刺激を脳がどう受け取っているのかは、長らく謎だった。昨年度のノーベル生理学賞では、スパイスの辛さを感じる受容体について研究成果が報告された。それによると、脳は「辛さ」を「痛み」として伝えることが分かった。

 「痛み」をなぜ、うま味と感じて病みつきになってしまうのか。それは、痛みを和らげようとして、脳内でエンドルフィンやドーパミンが出るからである。これらの物質は、鎮痛作用や多幸感、やる気を育むことで知られている。

 この研究成果は、示唆に富む。まさに、毒を制して薬と為すである。 

 私達は五味のように、誰もが納得して受け入れられる味に囲まれているわけではない。マイルドな辛さなら良いが、激辛という場合もある。しかし、そういう味に少しずつ接することで、やがてその味に慣れていく。このような対応を繰り返すことで、辛さに対する免疫がいつの間にかついてくる。

 人の本来持っている応対力には、底知れない力が秘められているように感じている。