「温故創新」211029 N924 伊波喜一

ワクチンの 接種対象 広げなん 子どもの予防 本格化する        

 中年の婦人が犬を連れている。薄墨色にときおり黒の混じった、毛の強(こわ)い、頑丈そうな犬だ。

 馴染みの公園に着いたらしく、そこから梃子でも動こうとしない。どうやら、犬の方に軍配が上がったようである。

 米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は26日、ファイザー製のワクチンについて5~11歳にも緊急使用許可を出すよう勧告した。

 臨床試験には、5~11歳の約2200人が参加した。

 有効性は90%で、ワクチン接種後に新型コロナに感染した子ども達は症状が軽く、深刻な副反応もなかった。早ければ、11月にも全米で接種が始まる。

 一方の日本ではどうか。感染から数週間後に重症化する「小児多系統炎症性症候群(MIS-C)の報告が、国内でも10例以上ある。

 だが、ワクチン接種で社会全体の感染者を減らす流れに、子どもも乗せるべきであるとする考えが強い。

 ただし、健康な子ども全員にすぐにうつということには、慎重を期すべきである。

 健康とは言っても、個々の状況はそれぞれ違う。既往歴や体質などについて家族でよく話し合い、接種するかどうか決めたらいい。

 今後は医学的知見に加えて、家族単位での判断を尊重していくことが、ますます求められよう。