「温故創新」210731 N834 伊波喜一

偶然を 必然に変え 今、生きる スタートライン 互いに違えど

  朝から蝉の声が喧しい。その声を聞くとなぜか、夏の終わりを感じる。目には見えねど、季節は秋の準備を始めているのかも知れない。 

 メダルラッシュが続いている東京五輪も、今日で折り返しである。日々、選手の活躍に励まされている。

 同時に、大会関係者や医療従事者を含めた国民全体の協力を、忘れてはならないと思う。 

 五輪はスポーツで勝敗を決める祭典である。オリンピックとパラリンピックに分かれたものの、スポーツは「肉体は同じ」という前提で、「いかに鍛錬したか」を競っていく。

 しかし、人は一人一人違う身体を持って生まれている。最初から勝負は決まっている。その意味では、虚構の世界の競争とも言える。 

 勿論、アスリート達は並外れた能力を持っているが、完璧な肉体が存在するかといえば、それはない。完璧に見えても、絶対ではない。

 また、周りからのプレッシャーや自身の心の揺れと、格闘しなくてはならない。それらと向き合いながら、より高みを目指して己心の弱さと戦っている。だから、見るものの心を揺り動かす。

 この世に授かった肉体は、偶然の産物かも知れない。それを承知の上で自己に向き合い、高める。

 だから、スタートラインが違っても、そこにスポーツの必然が生まれるのだ。