「温故創新」210705 N808 伊波喜一

窓外に 何思うらん 淡々と 背中曲がりて 父の姿に                 

 線状降水帯が全国に大雨をもたらした。水の勢いは凄まじい。ほんの僅かの高低差でも、水はすべるように流れ落ちる。水を侮ってはいけないとつくづく思う。 

 人は誰でも年をとる。その老人を世話したり、介護したりする現場は過酷である。

 足りない人数を駆使して、夜間の巡回や手当をする。もし誰か欠員でも出たら、手が回らなくなる。世話をしようにも出来ない、厳しい状況がそこにはある。 

 父のデイサービスでも、玄関先まで送迎車が迎えに来て、乗り降りを手伝ってくれた。リハビリも手厚く、マッサージまでしてくれる。実際、父も週2回のデイサービスを楽しみにしていた。

 だが、今年の冬に風邪がもとで肺炎を併発し、入院した。年寄りにとって、風邪は万病の元。致命傷になりかねない。

 かろうじて回復したものの、体力の低下はぬぐえなかった。それ以降、パルキシオメーターが手放せなくなった。

 人生100年時代を、健康に生き切ることは大変なことである。

 当然のことだが、年をとれば疾病の数が増える。自力で出来ることが減り、人の手を借りないといけなくなる。

 老人の孤独死は他人ごとではない。社会保障をどう充実させるか、制度と財源の捻出を早急に議論しなくてはならないだろう。