「温故創新」210418 N730 伊波喜一

余りにも 小さな夢に 汲々と 大きな希望 皆で育む  

 しとしとと雨が降っている。朝方から冷え込んできて、季節が舞い戻ったかのようだ。 

 日本のGDPの世界における割合が、見る影もない。平成が始まる前の1988年には16%で、断トツの存在感を示していた。

 ところが、2010年になると7%にまで落ち込んだ。昨年2020年には5.7%にまで下がった。

 この間、日本を除くアジアのGDPは25%に達している。日本の地盤沈下は明かで、社会全体で発想を変えていかざるを得ない。 

 では、世界的な二極化現象と宗教なき時代に、日本はどう立ち向かっていけばよいのだろうか。1つには、ポピュリズムや分断を超える哲学が求められる。

 仏法は縁起の思想を説いている。人は一人では生きられない。この世に生を受け育つまでに、どれほど多くの人や事柄と関わってきたか、考えてみると良い。

 発想を人から国に広げ、多様な考え方に立てば、自らにのみ正義があるとする覇権国家同士の理屈は通用しない。 

 2つには、自利から利他への発想の転換である。自利は小乗である。小さな器では、全体に貢献する発想も人財も生まれてこない。

 自他を潤す価値創造の哲学を根幹に置くことが、閉塞社会を打ち破る契機となるのではないだろうか。