「温故創新」210419 N731 伊波喜一

衣食住 政治の役目 果たさなん 老後の懸念 拭い去るには  

 雨が止んだら、草が伸びている。40Lビニール袋一杯になった。  「65歳未満お断り」を標榜する不動産屋がある。同社では65歳以上の高齢者に特化して、賃貸住宅の仲介を行う。

 孤独死などによる事故物件のリスクを避けるために、高齢者に部屋を貸すのを渋る大家は多い。そこで民間企業や行政などと連携して、入居者の安否を確認する見守りサービスを導入している。 

 手間暇がかかって大変そうだが、高齢者に貸すメリットもある。

 駅から遠く築年数が古い物件は、若者に敬遠される。ところが高齢者は築年数が古くても広い部屋や、1階の部屋を希望する人が多い。

 また若者と違って一度入居すると長く住むので、安定した家賃収入を大家は見込める。同社では全国で1千件の取り扱いがある。 

 高齢者にとって終の住みかを見つけられるかどうかは、人生の一大事である。

 この世に生きてきて、住みかを得られないことほど悲惨なことはない。同社の取り組みは、賞賛に値する。

 本来、高齢者に加えて、障がいを持っていたり外国籍であったりと社会的に弱い立場に置かれている人達への支援は、行政の役割である。

 予算がないからという理由で人的予算まで削ってしまっては、行き届いた行政対応は出来ない。削るべきは他にあるはずである。

 安心して過ごせる国とは何か、議を尽くすべきではなかろうか。