「温故創新」210407 N719 伊波喜一

人生に 正解はない 試行して 共感力は 柔和な心に

  窓外のケヤキが薄緑に色づいている。その柔らかい葉が日ごとに色を増している。一体いつの間に、こんなに色づいたのだろう。自然の生命力に感嘆させられる。 

 若き友人から、退職する旨の葉書をいただいた。今しばらく子育てに専念し、いずれは職場復帰したいとのこと。可愛い盛りの子どもに、後ろ髪を引かれたのかも知れない。 

 時として人は、いくつかの岐路に立つ。どちらを進んだらよいか思い悩んでも、なかなか結論は出ない。しかし、2つの事を同時にすることは出来ない。

 結果として、どちらかを選ぶことになる。後から振り返ってみると、その時点で尽くしたベターそれ自体がベストとなっていることが、往々にしてある。 

 花は柔らかく、傷つきやすい。敏感なままのその心を隠さず、衒(てら)わず、気負わず咲かせ続けるから美しい。 

 人の心も花と似ている。いくつになっても、迷い、悩む。迷い、悩むからこそ、見るものや触れるものの心に寄り添える。

 人生はその繰り返しともいえる。自分だけの悩みではなく、相手と共に悩み、解決していく。そして、自他共に幸せになる。 

 悩み、もがき、苦しんで初めて、人の心を知ることが出来る。だから、人って素晴らしい。