「温故創新」210911 N876 伊波喜一

混乱と 混沌からの 20年 歴史の審判 米国侵攻     

 イチョウの葉が薄茶色に色づいている。葉っぱ全体が枯れたようになっている。秋が深まりつつあるようだ。

 同時多発テロから20年の歳月が流れた。米国の象徴である世界貿易センタービルに、航空機で衝突するなど誰が想像しただろうか。それも、民間機でである。

 この自爆テロの原因は、グローバリゼーションによる米国の独り勝ちである。ほんの一握りに富を集中させ、富を分配しなかった。その結果、米国や先進国が繁栄を謳歌する反面、中東は困窮を極めた。

 国家や地域には、特有の文化や慣習がある。部族間対立や宗教対立もある。特に中東の歴史は、入り組んだ抗争の足跡である。

 そのように複雑な背景を持つ中東の歴史を、米国は顧みることさえなかった。米国を理想の国と信じ、国際関係を善対悪という2元論で捉えた。

 加えて、冷戦後に超大国となったため自らを過信し、力で世界を作り変えることが出来ると勘違いした。

 国や地域をまたがる国際関係は、善悪の2元論で解決できるほど単純ではない。歴史や民族・宗教などの国情を深く理解し民心を掴まなくては、征服者に心を寄せるものではない。

 国土も朋友も親族も破壊され尽くした民心が回復するには、更なる年月とケアが必要である。