「温故創新」210406 N718 伊波喜一

晴れの日を いつも見守り 幾歳か 桜に思い 重ねゆかんと 

  昨日の風雨に残った桜の花びらが、風に揺れている。

 昨夕からの冷え込みがまだ残っていて、今朝はコートやジャンパーで厚着している人達が目立った。 

 小学校の入学式が本日行われた。今日のこの日を、特別な思いで待ちわびていた保護者も多いのではなかろうか。

 昨年から続いているコロナ下で世間は翻弄されているが、桜は泰然として変わらない。大地に深く根を下ろし、幹を太く、枝を張り続ける。嵐にも灼熱にも寒風にも屈せず、微動だにしない。変わらぬ風景がそこにはある。

 その桜の下で記念撮影する人達の姿が、目に浮かんでくるようだ。 

 知人から、青梅市の桜並木の動画が送られてきた。強い風に桜の花びらが散ってゆく。これでもかと桜吹雪が続いている。贅沢なひとコマである。

 贅沢といえば、桜湯に桜餅を食するのも愉しみの一つである。旬の桜の素材を活かし、客をもてなす。どこにでもある素材が、一期の思い出を成す。 

 桜の4月に花見した思い出はそこはかとなく、歳月を経てもなお鮮やかである。若かった当時、鬱積した思いを抱えながら、小径を逍遥したその時の靴底の感触までがよみがえる。

 まさに桜ならでは情景である。桜の魅力に抗することは難しい。