「温故創新」210330 N711 伊波喜一

知恵絞り 古都の景観 守りゆく 京町屋の 存続如何に

  曇天が広がっている。室内にいると涼しく感じるが、動くと蒸す。サイクリングにはもってこいの季節だ。 

 京都の伝統的な木造家屋「京町屋」が、減少を続けている。老朽化や所有者の高齢化、高い維持費などを理由に、取り壊されることが多くなっている。 

 京町屋は、建築基準法が施行された1950年以前に建てられたものが多い。そのため、間口が狭く長い奥行きが一般的である。その造りから「うなぎの寝床」とも、呼ばれている。

 土で塗り固めた「虫籠窓(むしこまど)」や、内側から見えやすく外からは見えにくい「京格子」が特徴である。京都市によると、2016年時点で京町屋は市内に4万軒あったが、15%減少している。 

 土地や建物の維持は簡単ではない。修理・補修が欠かせないのは元より、無人化した場合のメンテも負担が大きい。加えて、借地権が発生している場合は、貸し手と借り手の思惑が交差し、補修や処分が簡単ではない。

 処分するにしても、これまた時間がかかる。

 特に街並み保存などに該当する場合、不動産はまさに手入れも壊しも出来ないものになってしまう。 

 国と自治体は長期戦略を立て、保存のプロセスを示す時が来ているのではないだろうか。