「温故創新」200823 N518 伊波喜一

国債の 増資拡大 コロナ禍で 追加発行 借金漬けに    

 コロナ禍の4月、日銀が国債買い入れの上限を撤廃した。

 この時点で日銀は、国債残高の4割を保有している。今年度末で964兆円を保有する見込みだ。 

 主要国も財政悪化を懸念して、大がかりな経済対策を進めている。対GDP比で米国14%、ドイツ22%、英国22%となっている。その中で日本は42%もある。問題はその中身である。 

 7月の3年社債の利率は、僅かに0.001%で実質ゼロ金利である。それでも日銀に売れば、利益が出る。

 日銀は3月に社債の買い入れ枠を3倍に増やした。これはコロナ禍で急上昇した社債市場の金利を抑え込み、企業がお金を借りやすくするための支援策であった筈だ。 

 ところが、この支援策を逆手にとって、投資家が企業から買った社債を日銀に転売して儲ける「日銀トレード」を横行させる結果となった。これでは何の窮乏・窮状対策にもつながらない。

 かえって、必要なところにお金が行き渡らず、市場を崩壊させている。弱者対策にならないばかりか、資本力のある一強をのさばらせる一凶となっている。 

 一人勝ちの成長神話を期待しても、許してもいけない。

 極度な所得格差や政治的対立を抑えるためにも、一人勝ちの市場化には、十分に目を光らせていきたい。