「温故創新」200506 N430 伊波喜一

去ってゆく 20年来 励まされ 途上国の 子等を癒すか

 天候が定まらず、一日中降ったり止んだりとの予報である。

 天気がもてば、子ども達が使っていたピアノを業者に引き取ってもらう約束になっている。 

 このピアノは、子ども達が幼稚園の時に購入した。

 それまでは紙の鍵盤で練習したり、玩具のピアノで練習をしたりしていた。何せ高い買い物である。子ども達の本気度を確かめてから購入した。 

 年1回行われる発表会に向け、ピアノの先生の特訓を受けて、何とか本番に間に合わせたのも懐かしい。

 中・高・大と進むにつれてピアノに向かう回数は減ったが、何かあると一心に向かっていた。きっと、心慰められるものがあったのだろう。

 引き取りの前日と当日、弾き納めをしてその時を待つ。(もっと練習しておけば良かった)と思ったが、時すでに遅し。後の祭りである。 

 当日、予定より少し早目に業者が引き取りに来た。ピアノは内部に大きな傷みもなく、調律をした後、途上国に送られる。彼の地でまた、多くの子ども達とその家族を癒していくことだろう。 

 最後に、筆者の家族の思い出にピアノの前で写真を撮る。これまで励まされ、豊かな気持ちにさせてくれたことに、感謝でいっぱいになった。