「温故創新」200217 N385 伊波喜一

成長の 声に背中を 押されるか 右肩上がり という幻想

 米中貿易戦争が下火になろうかという矢先に、コロナウィルスが蔓延し、世界経済が一気に減速している。日本も2%の経済成長率を保つために、巨額の財政投資をし続けているが、効果はなかなか現われてこない。それにしても、成長至上主義は私達の頭脳を著しく占めている。今、私達はお金やカードを持たずに外出することが出来ない。何をするにも、お金がないとやっていけないし、価値判断の基準もお金の多寡によって決まる。株式でも国債でも格付けが影響するし、それは成長しているかどうかで判断される。成長していないものは、考慮にだにさえされない。 しかし、永遠に成長し続けるものごとが果たしてあるだろうか。身近な人の一生でさえ、生まれ・育ち・老いて・朽ちる。永遠に成長し続けることは出来ない。そのことは、国家や文明にも当てはまる。そろそろ成長神話から我が身を解き放ちたい。そして、成長しないことをむしろ心地よく受け止め、楽しんでいってもよいのではないだろうか。 仕事の道すがら通る小さな公園の一隅に、紅梅が咲いている。甘い香りが辺り一面を潤す。 あるがままを楽しむ=これまた愉しからずや。