「温故創新」190712 N284 伊波喜一

長雨に 畑の土の 黒々と 陽ざし届かず 米実らぬか

 7月の日照時間(12日間)が、東京では5・2時間である。統計を取り始めた1961年以降最低となった。この日照不足で、野菜や果物の成長に影響が出ている。米も十分に穂が実らず、新米そのものの収穫が危ぶまれている。他にも夏物衣料や家電、飲料水、プールや海水浴など、おしなべて需要が伸びていない。昨年の今頃は暑すぎて、熱中症被害とその対策に神経を尖らしていた。それだけに、今年の冷夏に近い天候にはとまどう。 そういえば、近くの畑に植わっているブルーベリーもまだ色づいていない。紫や赤紫の実をさがすのに、目をこらす。例年なら毎日収穫しているところだ。路地裏のトマトも味が薄くて、何とも水っぽい。水っぽいといったら、トマトに失礼かも知れない。やはり、太陽の光を浴びないとトマトの甘みは出てこない。農作物にとって、太陽が照りつけるのは酷である。が、照らないのは命取りになる。全てはお天道様次第。だから、農業は難しい。 農業に代表される自然相手の仕事は、天災のリスクが常につきまとう。不可抗力の事が起きた時に、最低限の保証をどこまでしていくのか、政治は応えていくべきであろう。