「温故創新」190709 N283 伊波喜一

控訴せず 人権侵害 考慮して 政府判断 値千鈞

 9日、ハンセン病元患者の隔離政策に関し、政府は控訴しない方針を決めた。訴訟は患者に対する国の誤った隔離政策で差別を受け、家族離散などを強いられたとして元患者の家族561人が国に損害賠償を求めたものである。 ハンセン病はらい菌が原因で起こる感染症である。感染力は弱いが、重症化すると顔や手足が変形する。国は1907年に隔離政策を開始した。40年代に特効薬が開発され、治る病気となった。治療後は他人に感染しないことも知られるようになった。だが国は96年のらい予防法廃止まで隔離政策を続けた。  

 2001年、国が元患者に補償金を支払う「ハンセン病保障法」が成立。09年には「ハンセン病問題基本法」が施行。15年、元患者の家族が国に賠償を求めたが敗訴。今日に至った。家族にとっても長い闘争の道のりであったことは、想像に難くない。 私達の心の中には神もあれば悪魔もある。人は神のように慈悲深くもなれば、悪魔のように残酷にもなる。歴史はその生き証人である。だからこそ、己心の魔に食い破られないよう、己心を律し・磨き続けなければならない。慢心せず・阿(おもね)ず、信念の道を貫きたい。