「温故創新」190718 N288 伊波喜一

凡々と 生きてゆけるか 現実は ハンデ乗り越え 活かしてぞこそ 

 大相撲名古屋場所が面白い。両横綱が健在で、場所を引き締めている。力と力のぶつかり合いに加え、技の応酬が冴え、一瞬の内に勝敗が決する。そんな中、体の大きな力士揃いのなかに一際小さな力士が登場する。例えば、炎鵬(えんほう)。身長168㎝、体重99㎏と小兵だが、立ち会いでは正面からぶち当たる。そして小兵であるハンデを逆に武器にして、足をすくいあげたりと奇想天外の技を放つ。観客席からはもう大歓声である。厳しい勝負の世界でよく生き残っているものだと感心する。 真珠は美しい。奥深く、見るものを惹きつけてやまない。その真珠を受け入れる貝は、身の内に異物が入ると、その傷みを和らげようとする。その際、異物を包み込む成分を分泌する外套膜が、貝の体内に偶然に入り込む。これが、天然真珠を生成する。外套膜は細胞分裂して幾重もの膜となり、真珠ができる。つまり、真珠は異物を受け入れるというハンデを抱えた中から、生まれたと言える。 計画通りに進む人生などない。人生は逆境との根比べだ。思うようにならない・ハンデがある。だからこそ、成長できる。ハンデは言わば、人生のスパイスなのだ。