「温故創新」190717 N287 伊波喜一

不老不死 何のためにぞ 若返る 天与の使命 果たさんかなと

 先月、米ワシントン大学の今井眞一郎チームが老い防止酵素を発見した。若いマウスの血液に含まれているこの酵素は、「eNAMPT」と呼ばれる。体内の脂肪組織で作られ、血中を回っている。高齢のマウス(人間で50~60代)と若いマウス(人間で20~30代)で血中の酵素を比べてみた。すると高齢マウスではオスで3割、メスで7割減少していた。血中量が少ないほど、余命が短い傾向があった。人間の男性でも、加齢と共にこの酵素が減少していた。 加えて、若いマウスの酵素を高齢マウス12匹(人間で70~80代)に3ヶ月投与した。すると毛つやが良くなり、動きも活発になった。寿命は最大で16%延びたとのことだ。まさにアンチエイジングである。大事なのは、その延びた寿命を何に活かすかである。 黒沢明監督の作品「生きる」で、主人公の渡辺は癌になっていることを悟る。そして住民から要望され・懸案だった公園作りに命を懸ける。ついに約束通り、公園を完成させる。それはまさに、自利から利他への転換である。自分のためにのみ天賦の才や寿命を使うのではなく、周りのために活かしてこその長寿ではなかろうか。