「温故創新」190715 N286 伊波喜一

何のため 誰のためにと 問いながら この現実を いかに生きるや

 内戦やISなどのゲリラによる惨状が、伝えられている。これらの国や地域には、人種間の対立や宗教上の反目が横たわっており、経済状況の悪化が輪をかけている。また、大国間の代理戦争の結果、国そのものが疲弊し、難民となっているところもある。国土は一度戦場と化すと、元に戻すには半世紀近くかかると言っても過言ではない。戦争兵器による国土の崩壊や土壌汚染、食料の枯渇。加えて、反対勢力への暴力や略奪、強奪など、人が人でなくなり暴徒化する。暴力を加えられたものは、暴力で報復しがちだ。結果、対立が対立を生み、憎しみが増幅される。和平のテーブルに双方が着くまでには、相当の時間を要するのが常である。 リベリア共和国の女性平和活動家リーマ・ボウイー氏は難民の一人である。筆舌に尽くしがたい差別や暴力にあいながらも、乗り越えてこられた要因は何か?女性の集まる市場で「祈り歌うこと」に氏は取り組んだ。宗教や人種を越えて平和を希求する非暴力の運動が、自分を変え周りを変え、社会を変えていく力となった。不信という岩盤に風穴を開け、民衆の連帯を築いていった氏の行動力から学ぶことは、余りにも多い。