「温故創新」190909 N309 伊波喜一

大雨に 大風吹きて 暴れめく 天の力に 為す術(すべ)もなき

 台風15号が日本本土を蹂躙して去った。その猛威の前には為す術もない。ただ過ぎ去るのを待つしかなかった。どれだけ人知が発達しても、自然の脅威の前にヒトは無力である。日本の気候は多雨多湿であり、たびたび洪水を引き起こす。一旦氾濫した川は集落を呑み込み、被害を増幅させる。生きのびるには、治水に精通するしかない。古来より治世者の条件が治水にあったのも頷ける。 政府は防災・減災を施策の柱としている。しかし、ここのところの自然災害は、もはやその予測や対応の臨界を上回っている。かつての小雨・小流なら防げたものが、熱帯化したスコールの奔流の前には、いとも簡単に押し破られてしまう。結果として避難勧告が出される。これが毎回のように繰り返されているのが、今の日本である。もはや、従来型の発想では防災の決め手とはならない。 国土の強靱化は、防災という観点から国土の青写真を描かなければならない。多発する自然災害を念頭に、どのような国土設計と開発を描いているのか。そのためには地域住民をどうするのか、議論を尽くさなくてはならない。侃々諤々たる議論を避けて、防災は成り立たないのだ。